長いタイトルになってしまいましたが、以前「NHKスペシャル 戦国 感想と調べたこと」で扱った「NHKスペシャル 戦国」の(1)と(2)を合わせてさらに情報を足したロングバージョンの「大戦国史 『激動の日本と世界』」と、NHKスペシャルではあまり扱わなかった日本側の内政を足してコンパクトにした「歴史秘話ヒストリア 『戦国マネー・ウォーズ』」を見ました。もう四か月近く前ですがorz。
要するに同テーマの番組で、再現ドラマも同キャストで重複するシーンもありましたが、再現ドラマが一番のお目当てでしたので、それがどうしたって感じですねー。お代わり二杯(笑)。
「NHKスペシャル 戦国」の概要に加えて、江戸幕府成立後の朱印船貿易や東南アジアの日本人町に関しても扱っていたので、大体のタイムスパンとしてはちょっとだけ長かったです。
「大戦国史」で付け足されたもの。
- 銃はあっても鉛を手に入れられず、やむなく鉛以外の「あるもの」を使った武田家の悲劇。鉛をあなどるなかれ。
- 宣教師相手に信長公が名台詞を吐きます。
- スペックス商館長の怒り顔が見られます。(「戦国」では不敵な笑みが印象的でした)
- 毛織物と大阪の陣の意外な関連。
- ソフト面でもしっかりしていたオランダ側の商売。ハードをポンと売りつけて終わりにしてはいけないのですね。
などなど。
「戦国マネー・ウォーズ」では信長の楽市楽座、秀吉の太閤検地など、テーマになったお金をどうやって彼らが工面していたのか、ということをフォローしていました。まあ、日本史で習う範囲ではあると思いますけど。
再現ドラマの雰囲気は「大戦国史」は「戦国」を少し渋くして長くしたような感じ、「戦国マネー・ウォーズ」は市場や昔の街並みを流すシーンが出て、曲芸師とか、スペイン・ポルトガル人(多分)の色とりどりの衣装で華やかな感じでした。(余談ですが、スペインの使者の衣装は赤と金色という派手なもの。対してオランダ側は白黒基調と対照的になっていました。)原則同じキャストでも、切り取り方やシーンの違いによって雰囲気に違いが出るものですね。
以前、私が「NHKスペシャル 戦国 感想と調べたこと」で突っ込んでた、生糸輸入に関してもちゃんと出てきました。(これは「大戦国」だけだったかもしれないです。)海外の日本人街の発掘現場なども取材し、「家康は海外との貿易を夢見ていたのでした」と締めくくられていました。
が、史実では家康の息子秀忠へと時代が下ると、日本は海外との人の出入りを厳しく制限し始め、家康の孫、家光の代にはついにスペイン・ポルトガルに比べ信頼されていたはずのオランダ人でさえ、出島に閉じ込められての貿易だけになります。
知っているだけに、この点に触れずに突っ切った終わり方にはちょっと違和感を抱いたのですが、逆に言えば家康の代では、まだ普通に貿易を考えていて、人の行き来の制限までは考えていなかったということなのかもしれません。
そうは言ってもやっぱり鎖国をしなければ、良くも悪くも日本人は今のようにはなってないと思う*1ので突っ込んで話して欲しかったんですけどね。
意地の悪い話になりますが、鎖国以前、オランダ商人と日本商人との間でいさかいがなかったわけではなく、日本商人がスペイン人宣教師を商人と偽って載せていたという理由で、オランダ商人が日本商人の船を拿捕した事件*2とか、有名なキリシタンの一揆の島原の乱とかあって、鎖国に至るわけですけど。
さらに蛇足ですが最初のうち対スペインで組んでいたイギリスとオランダも、次第に利害の衝突や誤解などがきっかけとなって対立するようになり*3、イギリスはインド、オランダは日本を含めた東南アジア以東を主な活動範囲としていきますが、ずっと手を組めていたらと思わないこともありません。実際オランダ・イギリスの東インド会社を合併するという話もあったようです。
まあ蘭英の東インド会社同士の抗争はともかく、日本が鎖国に至った過程が省かれたのは、尺の問題もあるでしょうけど、今のグローバル経済社会の価値観に合わないから切った面もあるでしょう。 多分、鎖国を支えた価値観の中には、現代の私たちの価値観とはかけ離れたものである可能性は十二分にあります。
現代の眼から見て正当化できないからうまく扱えないものなのかもしれないとは考えるのですが、何とかこの過程をまとめたものを見てみたいとも思うのです。*4
今回の番組をNHKオンデマンドで見たい方は下記リンクからどうぞ。
「戦国」(1)(2)だけが今(2022年11月2日現在)見られます。
「戦国」の第1回・第2回ともに2023年3月28日までが購入期限です。(「大戦国史」はもう見られません)
「戦国マネー・ウォーズ」も期限が過ぎて見られなくなりました。
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