株中毒の株式+α日記

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歴史秘話ヒストリア 日本地図を手に入れろ! シーボルトの極秘ミッション 感想

 のっけからですが、歴史秘話ヒストリア、終わっちゃうんですってねー。詳しくはこちら。(Wikipedia

 それはともかく、なんとなくNHKオンデマンドで歴史関係をくるくる調べていたら出てきたので見てしまいました。……そしたら再放送予定があるって聞いてがっくり、でもその再放送は流れてしまったようで、先日改めてされたようですが。

  幕末より少し前の文化文政期、今の地図と比べても誤差はわずかという精密な日本地図、「大日本沿海輿地全図」を巡る話。

 前半はこの地図の蝦夷地周りを測量した間宮林蔵が主役の話。再現ドラマでは蝦夷地にロシアが攻めて来た時に地図がなかったため、防御するための要所が分からなかったためという、「地図の重要性」が示されています。

 後半はその地図を巡るシーボルトのエピソード。

 医者として無料で地元民を診察することで信頼を得て、鳴滝塾で生徒に医学を教え、日本の諸々のことに関するレポートを書かせることで、情報収集も進めていきます。

 やがて、オランダ商館長の江戸参府に同行し、間宮林蔵の上司で地図を管理する高橋景保の知己を得て、世界の地理を書いた本と引き換えに、地図の写しを欲しいと言います。高橋は迷った挙句に地図を渡します。

 シーボルトは間宮にも贈り物をしますが、本来外国人から贈り物をもらうのはご法度であるため、幕府に届け出たことがきっかけで、地図流出が発覚。高橋は逮捕され獄死し、日本で妻子までできていたシーボルトは国外追放されます。

 しかし、回収されたと思った地図は既にシーボルトが書写済みであり、その地図をもとに諸外国が日本に来るようになり、開国に至る、という話でした。

 

 一番の感想。

 江戸幕府の対応、抜け目だらけw

 高橋さん、あっさり買収されすぎでしょ。いかに厳重にしまってても、それを管理する人をいじられてしまえば終わりということですね。シーボルトが地図の写しを作っていたのも持ち出すのも止められなかったのも問題と言えば問題。(ただ、オランダ商館と日本との決まりで、オランダ側の人や船を調べる権限が、幕府側に元々なかったのかもしれない……と考えると後者はあまり責められませんが。)

 シーボルト事件と黒船来航がつながっていた、というのは新鮮でしたね。そういえば地図がなければ、自分たちが日本のどのへんにいるかというのは分からないはずで。言われてみれば、という感じです。

 シーボルトに関して、私が子供のころ読んだ小学館学習漫画『少年少女日本の歴史』では、日本研究に熱心になり過ぎるあまり、禁制品と知らず日本地図に手を出してしまい、追放を食らった人、という雰囲気の書き方をしてたと思うんですが、最近では純学術的ではなく、オランダ側の戦略から動いていたという見方が主流になったのかな。

 この漫画では帰りの荷物を積んだ船が嵐で事故を起こし、その中の積み荷に地図があって発覚した、という書き方がされていましたが*1、これはのちに否定されたらしく、この番組の再現ドラマでは違う書かれ方をしていました。

 地形図がご法度、というのは現代では幕府が厳しすぎるだけ、ともいえるのかもしれません。が、番組では扱われていませんでしたが(2021年3月4日訂正:番組で扱われてました。すみません。)、シーボルトが手に入れたものの中には江戸城の見取り図もあるらしく、これは現代基準でもかばえませんね(汗)

 死罪(獄死した後でも処分として死罪相当と認められた)判決を受けた高橋だけでなく、流罪その他の処分が大量に出てしまったこの事件、どうしたら防げたんでしょうね。一番いいのはダメでもともとで、オランダ側がこの地図の写しを正面から幕府にお願いするということだったでしょうが、多分断られるのが目に見えているのでこういう手段に出たんでしょうし……。

 鳴滝塾作る時に幕府側ももっと積極的に関わって、お金も出すが口も出すという感じにもっていけばよかったのか、それとももっと根本から、欧州の国でオランダ以外の国一カ国(新教のイギリスあたり)とも交易して、そちらからも情報を入手したり、競争させたりできればよかったのか*2

 いずれにせよ、無料で人を診察し、医学も教える、という手段で信頼を得て、出島の外に探索拠点を得たり、知識人の知己を得て目的の地図を手に入れるという発想を思いついたオランダ側は凄いですね。断れませんよこんな申し出。

 シーボルトは来日当時27歳と若く*3、その歳で多くの門人に師と仰がれるという状況はどうだったのか、と思いつつも、逆にこの若さがなければ医者と教育者と研究者の三足の草鞋は履けなかったろうな、とも。診療無料ということはかなりの人が来ただろうことが想像できるわけで。

 再現ドラマについて。シーボルト役の方、名前と、けたたましい芸風らしい、というくらいしか知りませんでしたが、本職はお笑い芸人の人らしく、その調子で何か言うかと思いきや、無論そんなはずもなく、終始淡々とした調子のリアルな再現ドラマでした。かっこよい。

 屋外での戦闘や測量のシーン中心の陽光の印象の強い前半部と、昼でも薄暗い当時の日本の室内中心の後半部が対照的でした。

 キャスティング的には少しごついかな、と思ったのですが、これは前述の学習漫画で描かれたシーボルトのイメージが私の中で強かったせいもあるようです。

 ↓こちらのページから見本に行けますので、この登場人物一覧を見て下さい。

www.shogakukan.co.jp

 この漫画だと、目が大きく優しげなデザインなんですが、同じく小学館から出ている別レーベルの『はじめての日本の歴史』ではそれよりやや武骨で気難しそうなデザインになっています。今回の番組の役者さんはこっちに近いかな。

www.shogakukan.co.jp

 これがさらに、歴史漫画(上記二つと違い、歴史学習漫画ではありません)『風雲児たち』になると、ギャグチックにかなり省略されていますが、顎は割れてるわ顔中傷だらけだわ、と随分マッチョなデザインになっています*4

 多分一番有名なシーボルトの肖像と言えば、下記のWikipediaにも使われている肖像だと思います。同じ肖像画からこんなになんでバラツキが出るの? と感じたのですが、「シーボルト 肖像」で検索すると若い頃のだけでも二種類か三種類くらいの肖像画があって、あまり相互に似てませんでした。

 うーん。動機の点だけでなく、物理的な容姿まで、人の実態を知るのって難しいですね。では。

ja.wikipedia.org

 この番組は2022年1月3日までNHKオンデマンドで視聴可能です。

www.nhk-ondemand.jp

*1:私の持っている初期の版での話なので、最近のだと修正されてるかもしれません。

*2:シーボルトがオランダ人ではなくドイツ人であったのを見抜き、追い返すという手もありますが、彼以前にもオランダ人以外の医師が日本に来ていることを見ると、日本側もある程度見逃していたという可能性もありそうなので……。

*3:ちなみに彼に医師以外の肩書があるのではと質問した高野長英はさらに若く8歳年下。地図持ち出し事件が起きた時は連座せずにすんだようですが、後に幕府批判が元で入獄後脱獄し、逃亡中の再捕縛の際に死亡。Wikipedia高野長英

*4:実際シーボルトは血の気の多い人だったようで、学生時代決闘を繰り返していたと言います(Wikipediaフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト)。